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  • 執筆者の写真反田孝之

30番台の悪夢

今日は9日ぶりに、米も大豆も除草機に乗らない。ちなみにこの1か月で除草機に乗っていない日は今日を入れて3日しかない。農産物を作る商売か除草機に乗る商売かわからんよなるよ。


昨日の続きで。


30番台というのは、土が深く期待の新規圃場の田区番号だ。しかし予想外の苦戦が待ち受けていた。草が異常に多いのだ。コナギを始めとする1年生雑草はもとより、クログワイ、オモダカ、ウリカワといった多年草の面々のオンパレード。中でもコナギの勢いの良さには閉口した。耕うんの工夫、代かきの工夫、機械除草、あの手この手をかけてみるが、意地になって生えてくる。こんな田んぼは私の人生で経験がない。


(2021年。一圃場ではこの世のものとは思えない光景に。)



コナギというのは除草剤を使わない栽培ではネックになるもっとも代表的な草であるものの、多年草に比べれば楽な草である。タイミングさえ間違わなければ除草機だけで十分対応できる。しかしここはなぜか様子が違う。ある年などは、代かき2日後の田植え時の田植え機の運転席から水中で芽を切ったコナギたちが大量に見える始末。それで田植え翌日からでも入れる除草機を50万円以上出して購入してやってもみた。この機械、体力的に負担がある。それを忙しい私の代わりに女房が頑張って使ってやってきた。それでも次から次に生えてくる。意地になって生えてくる。


対応が上手くできなかった一つの大きな要因として、圃場条件が乗用除草機に向いていなかったことがある。乗用除草機さえ乗りこなせれば強引に封じ込めることもできたかもしれない。しかし耕盤が安定しておらず、除草機の追随が悪い。草を取ろうとすると稲を埋め込み、稲に遠慮をすると草が取れない。もう一つが藻が湧きやすいこと。藻が湧くと除草機は使えない。


(鶏糞などを入れた圃場でよくある光景だ)


そして改めて前耕作者に聞くと、それなりに家畜糞が入っているというではないか・・!それでもこれらの圃場条件は改善しようと思えばできないことではないだろう。それでこれまで工夫を重ねてきた。しかし上手く行かない。そして気がかりな不思議な現象があって、不陸が直らないのだ。ある年15cmもの高低差を土を引っ張って直した。前耕作者はよくぞこんな田んぼでやっていたなと呆れながら。しかし翌年、また10cmくらいの高低差ができている。そういうことだったのか。なんだ、ここはと。まあ圃場整備後に時々見かける現象と考えるしかなく、毎年かなりの時間を割いて直してきた。しかし翌年は必ずと言っていいほど不陸ができる。こういう辛抱をしながら、この2.2haで7年間自然栽培を続けてきた。


ダメ押しが、仲間と昨年やったお米の腐敗実験。慣行よりも有機よりもこの圃場らのお米が腐る(お客さんに対しては微妙なことを書くが、敢えて書く)。自分一人でやってきた中ではずいぶんマシになってきたと思っていたのに、こんな結果かと。草が湧き出る原因は、これだろうとは思ってきたが、この6年間の結果とこれからの毎年の苦労を思うと、すっかり気持ちが切れてしまった。


丸1か月ほど悩みに悩んで、結論を出した。圃場をまた変えよう、と。すると自分でも思ってもみなかったほどに肩の荷が下りた。


続く。

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